住宅の歴史を少し考えてみましょう。
竪穴住居という閉鎖的な住宅から、寝殿造のような開放的な住宅まで、日本の気候風土に合わせながら、進化・工夫がありました。また、近世の数奇屋建築・保管庫としての土蔵・城の天守閣における城郭建築など、土と木で成り立つ建物は多く、自然の恩恵を受けながら、快適な空間を求めてきました。
戦後の焼け野原から住む場所を早急に増やす必要性・石油化学の発達・高度経済成長の背景などから、現在の住宅は本来必要とされる、
【 安全 】・【 安心 】・【 快適 】から、
【 安価 】・【 工期短縮 】・【 利益追求 】
に移行してしまったのがわかります。
住宅本来の意味を違ったかたちで捉えたまま、高断熱・高気密という工夫がなされ、結果、湿気による被害【 湿害 】が起こり始めました。また、これにともない、石油化学の発達の弊害から起こった、化学物質化敏症などの病気も今では多くの方が認識していることでしょう。
最近になり、本来の住宅の意味を見直す動きが増え、自然素材を使うことも多くなってきました。
本来、自然素材を使うことは当たり前であり、「自然素材」と強調すること自体が不思議ではあるものの、日本の伝統の良さ・本質を見直しはじめたということは、理にかなった家作りを目指しはじめたのではないかと思います。
土と木の呼吸する家・・
自然のエネルギーを受けられる家・・
全ては本来の意味を追求した住宅【 住む家 】のための技術・考えではないでしょうか。